おかべあさみのブログ

クラリネットを吹いています。アレクサンダー・テクニークの資格(ATI)を取るためSelf Quest Lab在籍。

スイス体験記2023

こんにちは。久しぶりのブログとなりました🥲

今年の夏にスイスの夏期音楽講習会に行ったことについて、時間が経ってしまいましたが書き綴ってみようと思います。

 

なんといっても印象に残っているのは、講習会の目玉でもある、オーケストラとのコンチェルトのリハーサルと、ソロでの本番。

一言で言うと、安心してわくわくしながら楽器を演奏している自分を再発見できた特別な体験でした☺️

振り返ってみるとどんなことが自分にとってプラスになったのか、リハや本番、講習会中に学んだことなどまとめてみます。

 

 

*食べ物、気候、過ごし方。人や環境から受ける影響

なんと言ってもまずはスイスの環境が好きです☺️🇨🇭泊めさせていただいた先生のおうちがある場所は自然豊かで空気も美味しく、夏の気候は湿度50%ほど。7月末は30℃超えで暑かったですが、日陰なら大丈夫。楽器を吹けば滝汗ですが。。ほとんどの日がカラッと晴れていました。

また食べ物やお酒も美味しい。。今回はスイスに行くのは5回目(!)で身体も慣れているのですが、1回目に訪れたときは、スイスらしい食べ物(牛乳、チーズ、いろんな味のヨーグルト、バターなどの濃厚な乳製品、サラミ、パスタやニョッキ、美味しいバゲット)が美味しく、食べ過ぎてまんまとお腹を壊しました。笑

現地の食べ物、飲み物はやはり現地で食べるとさらに美味しく感じられます。たまに節約のために持ち込んだインスタントな日本食を楽しんだりもしました。笑

練習時間も確保しつつ、空き時間は先生やクラスメイトと談笑し、夜にはもうヘロヘロになって早めに寝て朝早く起きる。(講習会中は盛りだくさんな日々を過ごしていたので早く寝ないと身体が持たない。。)安定したサイクルで数日過ごしてみて、忙しいながらもなんだか心身ともにいい感じ、という日が増えたと思います。

 

 

*ほぼ毎日アレクサンダー・テクニークの講座&個人レッスンを受けられたこと

今回の講習会は大谷淳子先生のクラリネットレッスンだけでなく、講習生がフリーで来ていいほぼ毎朝30分のアレクサンダー・テクニーク(以後AT)の講座と、要予約のAT個人レッスンを数回受けられるシステムがありました。

朝のATの講座では、気持ちよく呼吸をし、身体を動かすところからスタート。立ったり座ったり歩いたりの基本的な動作をしてみて、その都度先生にサポートをもらいながら自分の全身の状態の違いに気づきつつ、セルフでウォーミングアップしていくような内容でした。脊椎の動きには曲げたり反ったりひねったり側屈したり、バリエーションがありますが、それらのウォーミングアップを取り入れると身体全体が動かしやすくなり、特に呼吸がしやすくなりました。

また、生徒として参加しつつAT教師を目指す私としては(!!!)、いろんな楽器、いつもは自分がレッスンをする機会のないヨーロッパ人の骨格や癖、はたまたどんなことを考えているのかが興味のあるところ。

期間中に一緒に講座に参加した若い音楽家たちは少なからず身体の使い方の悩みがあり、ちょっと眠そうで暗めの顔で最初は参加するのですが...講座が終わるとみんなスッキリした笑顔で楽しかった〜ありがとう!と帰るのです。先生の柔軟なアイディアと自由な空気感が生徒に影響するのだなぁと改めて感じました。

また、個人レッスンではここ数ヶ月取り組んでいた腕や呼吸をテーマに(といっても部分に注目するのではなく身体全体のバランスを変えていくのですが)、先生に日々ハンズオンをしていただくと自分の状態に気づく時間が増え、毎回とても充実していました。

以前の私であれば、ATの先生からハンズオンを受けると、いつも使いすぎていた身体や心の緊張状態から開放され、その場では"心地が良い"のですが、なんだか緩み過ぎて不安、これでどうやって楽器を吹くのか...と感じることがありました。ATを学ぶうちに自分の状態に気づく瞬間が増えていくことで普段から自分を緊張させる場面が少なくなっていき、心地よく過ごせる時間が増えたと感じます。なので最近ATのハンズオンを受けても緩みすぎたと感じることもほとんどなくなりました。普段の状態とのギャップが少なくなったということなんだろうな、と解釈しています。

今回ハンズオンを受けて毎回新しい自分の状態になるのが楽しく、とても繊細に身体と心が変化しているのを感じ、学びになることばかりでした。

 

 

*オーケストラとのコンチェルトの合わせ

オケとのリハーサルでは指揮者、オケとモーツァルトのコンチェルト1楽章を演奏しました。・・・やっぱりみんなモーツァルトは好きですよね(?)

前奏からとっても生き生きと弾いてくださり、いたずらっぽくニコニコしているオケの人たちを見ていました。笑

どうぞどうぞ!と舞台が用意されているような感じ。一緒に楽しもうよ!と言わんばかりのお誘いに演奏の前から思わず微笑んでしまいました。。音楽から人が受ける影響、受け取るものは偉大なものだなぁ。緊張していても怖がることはない。この中ですべきはコミュニケーションをとる、どう転んだって大丈夫だから楽しもう。と思っていました。吹き始めてからは必死でした、、、でも以前と違うのは地に足が着いている感覚。

レッスンで習った事、いままで自分が繰り返し練習してきたこと、それをワンフレーズごと好きに動きながら表現してみよう、と自分に声掛けをしていたと思います。オーケストラとの合わせは本当に情報量が多く、必死。。生で起こることに反応し、対応する瞬間の連続。。(面白いのが2回目の通しではそこまで慌ただしくは反応が起こらず、余裕が出るのですよね。脳が学習するのでしょうね。。凄いなぁ)

うまくいかないポイントもありましたが、すべてひっくるめて今の等身大の自分で演奏でき、出し切れた〜!!と感じることができました。この経験が数日後のソロの本番でも活かせたと思います。

 

 

*ソロの本番

ソロの本番での体験も格別なものでした。選んだ曲は、バッシのリゴレットファンタジー。技巧的なパッセージを多く含むレパートリーです。この曲を選び、試行錯誤の日々が続きました。本番を振り返ると悔しさを感じることもありますが、自分の中で咀嚼したことをほぼ出すことができました。

演奏中、今まで感じたことのなかった安心?肯定感?のようなものがふとやってきて、「あぁ、この場所で演奏できて本当に幸せだ」と感じました。今自分の立っている場所は自分で選んだ居場所なんだな、と"頭で思った"というよりも、"身体が感じた"瞬間がありました。

講習生の奮闘している姿を楽しみにたくさんのお客さんが聴きに来てくださっていて、演奏が終わると「ブラボー!」をたくさんいただきました😭

毎朝ATの講座で顔を合わせている講習生や、名前も知らない講習生、久しぶりに会うスイスの友人も演奏後に会うなり「ブラボー!!」「よかったよ!!」「おめでとう!」と何人も笑顔で話しかけてくれるのです。同じ舞台に立つ人間を自然と称えるというか、仲間だと思っている。。。このような繋がりも本当に嬉しかったです。演奏が終わった仲間を労う、とっても健全で大事なことだと思います。

本番を通して、より感じたのは、"本番でやりたいことをやりたいように演奏する"...ために、より具体的な身体・考え方のプランを立てること。細かく見ていくこと。

今回の経験で、わたしの場合は技巧的な曲やテンションの高い曲を演奏をするときの心身のエンジンがかかる状態になるのに普段の状態とは少しギャップがあり、準備に時間がかかることもわかってきました。本番前緊張している状態で落ち着かず、これからアクティブなことをするのについリラックスしたくなってしまう傾向にも気づきました。そこからどうエンジンをかけるか?うまくいくときは、曲のチャレンジ度にもよりますが(ここも大きなポイント)、心身の緊張とアクティブ感(わくわく感)が伴っていて、本番も身体が動きやすく、集中力が高まる気がします。やりたい音楽と共に、よりエネルギッシュな身体の使い方、自分の側面を深掘りしていきたいなと強く感じました。

また、「こうやりたい」と「こうしたらうまくいく」の掛け合わせたプランをたくさん持って本番に臨みたいものです。やはり心身は思ったように動いてくれます。

 

 

*おわりに

ATに出会い、音楽や教える事を通しながら日々自分自身に気づくこと、新しいやり方に興味をもつことがこの数年自分自身のベースになってきたところです。

今回のスイス講習会では、コロナ禍を経て久しぶりに参加できたのもあり、いろんな発見がありました。たくさんの人からのサポートと、ATや音楽をこれまで学んできたこと、それらをその場で更新していくこと、、、すべてが繋がり合った経験でした。この経験を糧にさらに学んでいきたいと思います。

 

スイスの首都ベルンの美しい川と旧市街の街並み🇨🇭

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