おかべあさみのブログ

クラリネットを吹いています。アレクサンダー・テクニークの資格(ATI)を取るためSelf Quest Lab在籍。

微細にアップデートし続ける

こんにちは🌞

最近の個人的な探究テーマは、脚の使い方や座奏についてなのですが、

昨日はセルフクエストラボの授業(愛子先生担当)で脚がテーマだったのでヒットすることが多数!

印象的なレッスンをしていただいたので、シェアしてみたいと思います。

 

アクティビティレッスンでの個人的なお題は、「座奏と立奏の違いはなんだろう?座奏の時に上手くいかないことが多いけど何をしているんだろう?」でした。

 

 

今取り組んでいる、メシアン:「時の終わりのための四重奏曲 3楽章 鳥たちの深淵」に1小節間でpppからffffのクレッシェンドをかける表現があります。

奏者には"限界"が求められているように感じます。

表現がとても極端なので、表現することにしても自分自身に対しても、"定義づけを保留すること"が必要だと感じています。

 

この"定義づけの保留"。

今まで自分にとって普通だと思っていた奏法や表現って当然ありますよね。

例えば、吹き慣れたとある曲。曲中に出てくるfってどんなことしてるの?と聞かれたら、このぐらいの息の量、スピードはこのぐらい、アンブシュアはあんな感じだったかな、などの感覚を思い出すことができると思います。

人間は経験から得た感覚から細かいデータを持っていて、「〇〇は〇〇である(べき)」といった定義づけをしています。

それ自体は無意識であったり、普通のことですが、新しいことにチャレンジするときには意識的にそれらの定義を見直してみることや、一旦保留して違う選択肢を取ってみるとどうなるのでしょうか。

その上で、必要なコントロールの精度を上げていくことが私の探究テーマ。

作曲者の意図を最大限に表現するために、クレッシェンドの行き先、ffffのパワーを生み出したいと思うのですが、、、なかなか座奏で思うように息が吐けなかったり、また立奏の時もクレッシェンドした後の休符でブレスをとるとき、喉あたりの緊張が抜けきらず次のフレーズに移るための万全な準備ができていない状態になりやすかったのです。

 

まず一度吹いてみます。

やはり、クレッシェンドの最後のひと押しでお腹の圧力がかかりきらない感じ。喉の辺りに緊張が起こる感じがありました。

愛子先生の提案は、まず楽器を置いて、立つ→座るの動作をやってみよう!とのことでした。(よかったら試してみてください✨)

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↑座っている時は、坐骨(骨盤の一番下にある、座ると左右に当たる骨)に、上半身の体重が乗っている状態。

 

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↑立ち上がるにつれて、坐骨に乗っていた体重は、脚全体に配分が移っていきます。

 

 

その上で楽器を構えながら、立つ→座るの狭間にある、椅子に坐骨がほんの少し付いている座りかけの前傾の状態でもう一度吹いてみる。

座りかけ状態の股関節の動きに遊びをもたせたり、坐骨から脚に体重が移る狭間でゆらゆらと遊んでみながら吹いてみることもしました。

 

「お!何となく上手くいきそう!」と手応えを感じます。

手応えを感じるのは、やはり息の吐きやすさ、吸いやすさ。お腹の辺りに先ほどまで感じていた固さが減って、ユルっとしてきました。

 

また、呼吸時に活躍してくれる骨盤底筋群のことを整理しました。

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※画像には梨状筋(お尻の筋肉)も含まれています。

↑骨盤底筋群。いくつもの膜のような筋肉で構成されています。内臓を支えたり、排便や排尿のコントロールができます。横隔膜などと連動して動くことで、呼吸のコントロールにも役立ってくれます。

 

↓上から覗くと、、、骨盤の底にハンモックのように付いています。息を吐くと横隔膜の動きと連動して上方向へ持ち上がり、息を吸うと横隔膜と連動して下がっていきます。骨盤の中に丸いボールがあるイメージです。

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↓そして、脚の関節である股関節、骨盤の底にある坐骨もこんなに近くにあるのです。

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まとめると・・・

骨盤底筋群は、

股関節、坐骨の近くにある

胴体の1番底にある

横隔膜などと連動して吐く時に上方向に持ち上がり、吸う時に下方向へ押し出される

座る時は坐骨、立つ時は脚に体重が移動していく。下方向へかかる重力とは逆の、上向きのサポートが常に働き身体を支えてくれる

 

 

 

これらを意識してみると・・・

やりにくい時に感じていた喉の力みやお腹の力みは減り、とっても楽に吹けました。

股関節の動きやすさが呼吸に役立っていることを再発見。

また、骨盤底筋群という強い息のパワーを生み出してくれるものが自分の胴体の1番底にあることをただ信頼すると、息の余裕が増してまだまだ開発ができそうだなという感触がありました。

骨盤底筋はなかなか感じにくい筋肉(使っている感覚が人によっては感じにくい)のようですが、おそらく立奏で上手くいっている時に感じているお腹のあたりの弾力性は骨盤底筋群がパワフルに働いてくれているときにあるもので既に感じているものだったのか〜、とも気づきました。

 

また、座ることに対して無意識にやっていたあることにも気づきました。

以前、アレクサンダー・テクニークのレッスンの時にいただいた提案、座る時に「坐骨に上半身の体重が乗る」ですが、

その時の「やってみて良かった座り方」が、いつの間にか"常に坐骨のある一箇所のみに上半身の体重を乗せる感覚を得に行くこと、姿勢というカタチに当てはめること"にすり替わっていたようで、それを無意識に選んでいたということでした。

 

〇アップデートをしよう

表現における音色の使い分け、パレットの色彩を豊かにするのに、からだのお仕事としては、骨盤や脚周りの動きが大きく役に立ってくれることを実感したレッスンでした。

アレクサンダー・テクニークの学びはじめに、座る動作での"上半身の体重が坐骨に乗る"というプランはもちろん役に立った記憶があり、いつでも使えるプランとして引き出しにしまっておきたいものです。

ただ、姿勢は決まった型ではなく常にバランスを取り続けているものなので、そのプランが「こうあるべき」のような定義づけに変化して、身体も心もバランスを取ることができず、自分のやりたい事の妨げになっている場合もあるのです。

逆に言えば、心身の使い方や考え方のアップデートができたら、新しい表現を開拓し、演奏することができるのだろうなーとわくわくするのでした。

飽きずに探究ができるのも、音楽を表現することから学べることがごまんとあるから。(飽きる暇なんてない...)

そして、アレクサンダー・テクニークの学びを通して、自分自身を観察するスキルがだんだんと身に付いてきたからだと言えます。

以前より、知れば知るほど単純に不思議で楽しく、探究したいという好奇心が湧いているのが私としてはとても嬉しい変化なのでした。

これからも微細にアップデートをし続けてみたいと思います。

 

このレポートも書くたびにアップデートしたいなあ。こつこつやっていきます。笑

それでは、また次回🌞